第16話 NEWマシーン
公彦と美也子に子どもが生まれ、
1年が過ぎた。
バイクが冬眠になる冬の柏崎の夜。
2人はコタツで、バイクの雑誌を読んでいた。
美也子はふと、思う。
大きいバイク、私でも乗れるかな?
足着きのいいバイクって、何があるんだろう?
いろいろな雑誌を押し入れから引っ張り出し、
自分が乗れそうな車種を見つけようと試みたが、
雑誌を見てもイマイチ分からない。
私はどれだけバイクを知らないのかしら・・・(汗)
思うのは、美也子は「バイク」よりも、
「バイクで走ること」が好きなんだということ。
なので自力検索をすぐに諦め、
隣にいる男の脳内ベースを頼ってみた。
「ねぇねぇ。私でも乗れる大型バイクって
何があるかなぁ?」
「・・・・・・・・はい?」
前フリなしで話し始める美也子。
その言葉の裏を読み取ろうとする公彦。
「私ってば、子ども生んだじゃない?
そのご褒美にバイクでも買おうかなって♪」
たった今、思いついたことを言ってみる。
「今買わなかったら、
この先ずっと買わないと思わない?」
自分のマネーで買うつもりだから、
ダメと言われる気もないのだが、
専属メカニックの機嫌を損ねるのは得策ではない。
いろいろな理由を後づけする美也子。
「ふ~ん・・・そうねぇ・・・。」
公彦は何かを考えている。
その日、その話はうやむやに終わった。
翌日の夜。
「コレなんか、どう?」
公彦はニコニコしながら美也子に雑誌を見せた。
1日ずっと考えてくれてたのかなぁ~。
ちょっと嬉しいかも♪
そんなことを思いながら美也子が見た車種は・・・。
≪ YAMAHA VMAX1200 ≫
「無理っ!むりムリっ!!!」
「何言ってんの?こんな大きいの、
乗れる訳ないじゃん!」
見た目より乗りやすいって!
結構足着きいいよ?
美也子も結構乗れるようになったじゃん?
ハンドリングのYAMAHAだし?
ほら、MJ氏が乗ってるのだよ?
(2人の結婚式あたりを参照)
いろいろ聞けるじゃん♪
なぜか公彦が美也子を説得する図式に
なっていた。
「じゃあさ、今度の休みに跨ってみたら?
それで決めればいいんじゃない?」
次の定休日。バイク屋をのぞいてみた。
VMAXはないかな~?と店内をうろつく。
「あ、あった♪」
美也子は恐るおそる、VMAXにまたがる。
「あ、足着いた!」
恐るおそる車体を起こす。
「あ!起こせたっ!」
・・・ムフッ♪
この瞬間、美也子はVMAXにしようと決めた。
バイクシーズンが始まる頃、美也子のVMAXが来た。
2000年式のカナダ仕様。
色は黒を頼んでいたのに、なせかシルバー。
現物を見て気に入ったので、そのまま購入。
地元の仲間と朝錬がてら、志賀高原に行ったり、
早朝の新潟県内を走りまくる年になった。
(残念ながら、その頃の画像がない。)
秋。
美也子は突然気がつく。
海風は、バイクに悪い!!
ガレージが必要だ!!
ガレージを作る。
(画像のバイクと子どもはあまり関係ありません。)
(美也子の主張で棚を赤く自家塗装。)
あっという間に、公彦の遊び部屋となった。
大排気量のバイクは、やはり魅力的。
どんどんのめり込む美也子だった。