第19話 新たなスタート

震災後、目まぐるしい毎日を過ごしていた

公彦と美也子。


2週間ほどして、ガスと水道が普及する。

その頃から公彦はガレージに入り、

スローペースでバイクをいじり始めた。


夜、ガレージで1人になり、頭を切り替えることで

上手にストレスを消化する公彦だった。


定休日返上で営業を続けていた美也子は、

途切れぬ緊張とストレスにはやはり勝てず、

2ヶ月後あたりでダウンする。


このままでは、マズい。

復興は長丁場。

全力疾走を続けるのは絶対無理と痛感した美也子は、

スローペースを心がけ、残業は一切しないことにした。


少しずつ、少しずつ

日常に戻っていった中村家だった。

 

年が明けて2月。

中村恒例のセール「大蔵払い」を行った。

 

 

ハンパな品が、ハンパなくある店内。

これでもか的な超破格値で放出。

 

 

会長(公彦の父)が一言。

「こういう時は、儲けちゃイカン。」


お陰様で、満員御礼の3日間だった。


震災の翌年6月。

柏崎の初夏の風物詩。

「えんま市」の季節がやってきた。


 

中村のそばにあるえんま堂には、

今までにないほどお参りの行列ができていた。

震災から一段落、と思った人が多かったようだ。

 

翌7月は海の花火大会。

 

 

花火終盤。

海上全体が、言葉にならない感動の輪で

包まれていた気がする。

市民それぞれが頑張っていたんだろうな。


公彦は、すっかり元の生活パターンに戻っていた。

 

 

ある日はブレーキをいじり、

 

 

ある日はタペットをいじり、

 

 

ある日は何かをいじる。

 

 

そして、たま~に走る。


今回の画像を探していて思ったが、

よく飽きずにやってるなと、感心してしまう。

公彦はバイクという乗り物がなくなったら

いったいどうなってしまうのだろう。

・・・想像できない。


美也子の生活にも、バイクが戻ってきた。

 

 

久しぶりの遠出。

久しぶりの仲間。

 

 

NEW Vmax 日本初お披露目に居合わせる。

女性ライダー日本初跨り?

しかし足が着かず、仲間からバカにされたっけ。

バイクに乗り、ようやく生き返った美也子だった。

 

遠出がなかなかできない公彦と美也子。

 

 

家族3人のプチツーは、頻度が増えた。
これもまた、楽しい。

元気を取り戻した美也子は、
店内大改造計画を発動させる。

 

 

震災のキズ跡をなくすためにと始めたのだが、

元々DIYが好きな美也子。

 

やり始めたら、楽しくて仕方がない。

営業時間中にコツコツやり続けた。

 

 

入口付近だけ、オレンジ色に。

思いつきで作った店頭カフェ。

 

しばらく後、

ここが予想外の記念すべき場所となる。



バイク雑誌「東本昌平RIDE」 39号にて

「中村」がコラボ店として掲載される。


2010年8月17日 コラボがスタート。


公彦・美也子にとっても、新たなスタートとなった。


これからも、中村夫婦はバイクに乗り続けるだろう。



~完~

 

 

 

 

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