第3話 男ってやつは
月に1~2回、休みを合わせて遊んでいた二人。
当時、公彦はDT200WRとRZ250を持っていた。
美也子が遊びに行くと、公彦はいつもRZをイジっている。
たまに出かける先は、上野のバイク街。
上野はバイク関連のショップが軒を連ね、
バイク乗りの天国的なエリアだった。
たくさんのバイクが集まり、それを見るのも楽しかった。
~公彦流のお買いもの術~
まずは1店ずつ見て歩く。この時は、まだ買わない。
バイク街の端に○ッテリアがあり、そこで休憩。
ポテトを食べながら、今日は何を買おうかと真剣に悩む。
そして、2巡目。
欲しいものはたくさんあるが、お財布と相談しながら
いくつかの部品や工具を手に入れ、満足満足。
その部品を早く取り付けたい、公彦。
基本、男は子どもだと思う。
自分が楽しいことを夢中でやり、
ふと後ろを振り帰ったら、やさしい笑顔で見守る人がいる。
そんなシチュエーションが好きなのだ。
そんなのつまんないと思いつつ、
許してしまう女もいけないのだけれど。
3回に1回くらい、普通のデートをしてみたい・・・。
そう考えるのは、女のわがままだろうか。
ある時、遊園地に行った2人。
そう、普通のデートである。
やっぱりこうでなくっちゃ!!!
美也子はごきげんである。
ゲートをくぐり、公彦が真っすぐ向かった先は
絶叫アトラクション。
平日の遊園地は空いていて、なんでも乗り放題。
絶叫系を2回連続乗ったところで、美也子ダウン。
「ここで待ってるよ・・・。」
「んじゃ、もう1回乗ってくるね♪」
楽しむときには、徹底的に楽しむ男である。
まったくやさしくない男である。
コーヒーカップなんぞに一緒に乗ったら危険この上ない。
この時、1人であと2回乗った記憶がある。
具合の悪い彼女をほったらかしにして。
これ以来、遊園地は美也子の鬼門となった。
徹底的に楽しむ男のRZが組み上がった。
ちょっと様子見に走ってくると、キックを踏み下ろし、
パイ~ンとゆるい右コーナーを走ってゆく。
ガシューーーー・・・。
転がり、慌ててRZに駆け寄り、帰って来た公彦。
「い、いたい・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
大したケガはしなかったが、
美也子の冷たい視線がかなり痛かったようだ。
・・・やっぱり男は子どもである。
数年後、またも美也子の前で事故を起こすが、
それは当分先の話し。